Google を退職しました。そして Graffity という拡張現実の世界へ。

 

2018 年 1 月をもって Google 日本法人を退職しました。

人生初めての退職エントリ。最初にお断りとして、自分がみた Google は全世界に拠点を持つ同社の中でも日本法人且つ、広告製品から見た一部にしかすぎません。そのごく一部から一社員として見えた Google という世界と感じてきた想いについて書き残したいと思います。 

2016 年 4 月 Google に新卒入社し、1 年 9 ヵ月間、主に広告製品を担当させていただきました。その他 Google が持つ膨大な広告データ解析や日本での新チーム立ち上げ、iOS アプリの日本ローンチなど様々なプロジェクトに関わらせていただきました。

インターネットの歴史と Google に多大なインパクトを残した素晴らしい広告製品、そしてプロジェクトを優秀な諸先輩、同期後輩に囲まれながら、一社員として携わることが出来たこと、本当に貴重な機会を頂けたと思います。感謝でいっぱいです。本当にありがとうございました。そして、退職した今でも Google は憧れの企業である事に変わりはありません。

 インターネットとの出会い

「携帯電話で自分のサイト作れるんだよ!」「なにそれすごい!」

中学生ではじめて買ってもらった自分の携帯電話。中学生で覚えてたての HTML と CSS を使ってサイトを作り、公開できた時、とても嬉しかったのを覚えています。この頃から、好きだったインターネットは好きではなく、何か惹かれるモノへと変わっていきました。

熱冷めあらぬまま、高校生になり、プログラミングに魅了され開発したソフトウェアを販売したり、ウェブツールを開発し、広告マネタイズでのサイト運用をしたりと、寝る間も惜しんで熱中していました。インターネットの世界に魅了されながら、大学進学後は機会に恵まれ、日本マイクロソフトマーケティング部門インターンはじめ、いくつかのインターネット関連企業で働く経験をさせて頂きました。そして 2015 年、サークルで同期だった森本俊亨とリクルートホールディングス(TECH LAB PAAK)の支援を受けながら機械学習を使ったコミュニケーションチャットボット開発を行う会社の起業。そんな経験を経て、 Google に入社させていただきました。

1 つの選択と 1 つの忠告

なぜ Google に入社したのか。なぜ辞めるのか。想いはたくさんあります。ただ、その中でも自分の想いと合わせて、在職中、常に頭の中にあった「 1 つの選択と 1 つの忠告」があります。 

Focus on the user and all else will follow.( ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。)Google には Google が掲げる 10 の事実 *1 というフィロソフィーが存在しており、そのうちの 1 つです。今ではご存知の方も多いフィロソフィーだと思います。

「1 つの選択」。それは Google への入社を決める前、入社を迷う自分に当時 Google で働く先輩に「君は 10 億円が欲しいのか、それとも 10 億人が使うサービスを作りたいのか、どちらかを選べ。」と聞かれたこと。その選択に「10 億人が使うサービスを作りたい」と答えると「であれば Google に入社するべきだ。世界中をみて Search Engine はじめ YouTube など 10 億人が使うサービスをいくつも作ってきた企業は他ない。なぜ多くのユーザーがいるのかを知るべきだ。」と返されました。この言葉はとても腑に落ち、入社に対する興味を大きくしました。思い返せば立場上どちらを選んでも結局は Google へ来いと言われていたような気もしますが、これが Google へ入社を決めた理由の 1 つになった事は確かです。合わせて、もしこの選択がなければ Google での働き方は大きく変わっていたと思います。在職中、その答えが何なのか頭の中を行ったり来たりさせていました。

Great just isn't good enough.(「すばらしい」では足りない。)」10 の事実にある、もう 1 つのフィロソフィー。

言わずとも Google の労働環境は本当に素晴らしいかったです。緻密に計算されたオフィス環境、自由で、挑戦する機会に溢れた仕事の数々、優秀な社員の方々、何をとってもストーリーが生まれるようにさえ感じました。「 1 つの忠告」。それは同様に入社前、別の元 Google 社員の方に「Google での時間を 1 秒も無駄にしてはいけない」とご忠告していただいたこと。言葉自体はそのままの意味ですが、入社前と入社後でこの言葉の解釈は大きく違いものになりました。退職した今、なぜ 1 秒も無駄にしてはいけないのか、僕は自分の解釈を信じていこうと思います。

「 1 つの選択と 1 つの忠告」。それらの答えを自分なりに得ましたが、果たして正しいのかは正直分かりません。ただ、この答えを元に自分なりに表現してみたい。1 つ確実に言える事は、この「 1 つの選択と 1 つの忠告」が自分の Google の時間をより価値ある時間にしてくれたと感じています。この場をお借りしてお二方にお礼をお伝えしたいと思います。ありがとうございました。

新しい世界を作りたい

 「もし、これが出来たら興奮しない?」「興奮する!」

はじめてパソコンを触った瞬間、プログラムが完成した瞬間、ユーザーが自分のプログラムを買ってくれた瞬間、そして多くのユーザーが自分のサービスを使ってくれた瞬間。どの瞬間も自分にとっては興奮の連続でしたし、幸せだと感じる瞬間でした。

これからは再び、森本と共に Graffity *2 という会社で機械学習を使った拡張現実での新しいコミュニケーションプラットホームを作っていきます。自分の人生の時間を使って、これからくるであろう新しい世界を作ってみたい。より多くの人たちと一緒に興奮したい。

そんな想いを持ちながら、Google を後にする事を決めました。約 2 年間、間違えなく多くのことを学ばせていただき、本当に良い時間を過ごす事が出来ました。

Graffity は 2018 年より落書きと文化の集まる「裏原宿エリア」に新オフィスを構えました。ぜひ原宿、表参道にお越しの際には、お声がけください。

どうぞ今後とも大野、そして Graffity をよろしくお願いいたします。長文、乱文となってしまいましたが、最後までご拝読ありがとうございました。

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表参道、新オフィスにて(左森本、右大野)

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Graffity メンバー。新オフィス最寄りにて

感謝をこめて。

大野将希